「みんなに認められたい」という思いが、集客の邪魔をする
人が集まらないのは、「認められないといけない」という無意識の思い込みが邪魔をしているからかもしれません。ターゲットに戻るための、シンプルな整理法をご紹介します。
「うまく伝わらない」と悩んでいらっしゃる方は多いものです。
仕事で人を集めるのが上手な人と下手な人の違いについて、よくご質問をいただきますが、答えはシンプルです。稼いでいる人ほど、ターゲットがはっきりしています。意識しているかどうかにかかわらず、自分が誰の役に立ちたいのかを、きちんとわかっているのです。
つまり、すべては「誰に向かって話しているのか」に尽きます。
知識も実力もあるのに、なぜか人が集まらない
十分な実力がある人ほど、不思議と人が集まらないことがあります。その裏には、たいてい次のような思い込みが潜んでいます。
- 「怒られると怖いから、説得しなければ」
- 「認められないと怖いから、わかってもらわなければ」
- 「社会に認められる形にしなければ」
しかも厄介なのは、これらを無意識のうちにやってしまっていることです。ご本人は気づいていません。
たとえば、ダンスを教えたいとします。「運動不足の人に働きかけよう」「新しいことを始めたい人に声をかけよう」。ここまでは健全です。ところが、パンフレットやホームページを書いている途中で、こんな気持ちが顔を出します。
「ダンスを嫌いな人にも、この価値をわかってもらわないと」
そうなると、ダンスの良さを長々と説明したくなります。書かないと不安になってしまうのです。けれども、もともとダンスが好きな人がターゲットなら、そのような説明は必要ないはずです。すでに知っていることなのですから。
説得したくなったとき、相手はもう離れています
「ダンスを軽く見ている人に、有益さをわかってもらわないと」という無意識が動くと、今度は科学的な効能をびっしり書きたくなります。これも、まったく魅力的ではないため、人は集まりません。
うまくいく人は、自分が伝えたいことをダイレクトに伝えているだけです。多少不器用でも、きちんと伝わります。これは個人で仕事をする人だけでなく、大きな組織で働く人にも当てはまります。「自分が伝えたいこと」が明確になった途端、上層部に認められたというお話も耳にするほどです。
反対に、「認めてもらわないと」という気持ちが動いているときは、伝えたいことよりも、理屈のほうが多くなっていきます。相手が求めていない説明を、一生懸命にしてしまうのです。「これを言わないと」「これを説明しておかないと」と、何かに追われるような感覚があるなら、少し立ち止まって、ご自分の心を覗いてみてください。たいていの場合、「認められないと怖い」という気持ちが隠れています。
ターゲットに戻る、それだけでいいのです
ターゲットを決めて書き始めても、いつのまにか自分を非難する人を想定して理屈っぽくなったり、「社会全体にもわかってほしい」という気持ちに流れていったりするものです。もちろん理論や根拠は必要ですが、1しか要らないところに10の説明は必要ありません。
長く書きたくなったときほど、いったん短くしていく作業が必要です。無意識に「こういう批判をする人のために説明してあげないと」としてしまっていることに気づけたら、そこで動きを止めて、もう一度ターゲットに戻りましょう。それだけで、余計な説明に使っていた時間がぐっと減り、「次は誰に何を伝えるか」に集中できるようになります。
ターゲットにしっかり向き合う人は、結局、社会のほうが後から認めていくものです。ダンスの例で言えば、「ダンスをしたい人を集めよう」と集中していれば、関心のなかった人まで、後から自然と集まってきます。
ところが、「みんなに認められないと」という動機が無意識に動いていると、頭の中の批判者がいつまでも離れず、欲しいものはなかなか手に入りません。
心の中にいる、説得したくてたまらない批判者に気づいたら、どんな人を集めたいのか、もう一度戦略を立て直してみてはいかがでしょうか。「絶対に必要だ」と思っている説明を、思い切って削ってみてください。相手が本当に望んでいるのは、優しくて柔らかくて、単純な情報であることが多いのです。
(批判者は、誰の心の中にもいます。両親をモデルに、社会から外れないようにしようとする無意識の働きです。それに自覚的になったうえで、新しい選択ができるようになっていく。そうした整理を、日々の対話の中で行っていきます。)