「いつか」という癖から抜け出し、今の自分と一致して生きるには
職場も家も、今いる場所には何か足りない気がする。もっと充実した場所、もっと理想的な環境が別にあるような気がして、そちらに向かって生きているような感覚になる。今この瞬間に集中できず、目の前にいる人も、今いる場所も、どこか上の空で大切にできない。そんな感覚を抱えている方は、意外と多いものです。
けれども、これは向上心ではありません。ここは、はっきりとお伝えしておきたいところです。
「いつか」という感じ方は、癖なのです
未来に何かがある、もっと良いものが手に入るはずだという感じ取り方は、目標があるからそう思えるのではなく、一つの「癖」です。これがなかなか厄介なのです。
なぜなら、たとえ何かを手に入れたとしても、同じ感じ方がそのまま続いていくからです。新しい家が建っても、仕事が変わっても、結婚しても、「まだここではない」という感覚がついてまわります。環境を変えても解決しないのは、問題が環境にあるわけではないからです。
もう一つ厄介なのが、この癖が「今すでにある恵み」を見えなくさせてしまうことです。今の家族、今の仕事、今のご自分が持っているものすべてを、「まだ良い段階ではない」として素通りしてしまいます。本当の意味での前向きさとは、目標を持ちながらも、今この瞬間を味わえることです。それこそが、バランスのとれた前進というものでしょう。
本当の問題は「今の自分との不一致」です
これも、はっきりとお伝えします。これは「未来が不安かどうか」という話ではありません。
本当の問題は、今、自分の心と一致できていないことです。「ああ、大丈夫だ」「いいなあ」と思えないまま、その感覚が解消されずにいます。だからこそ未来に正解があると思い込み、気持ちがそちらへ逃げてしまうのです。
たとえば幼い頃、何かを誰かと一緒に楽しみたかったのに、それができなかったことがあったかもしれません。楽しいことがあっても、それを十分に受け止めてもらえず、気持ちをうまく表現できないまま、なんとなく置き去りにされたような戸惑いが残った。そうした経験が、「今はまだここではない」という感じ方の土台になっていることがあります。
けれども、「そういうことがあったのかもしれない」と気づくだけで十分です。それ以上、深く掘り下げる必要はありません。
考え込むほど、こじれてしまうものです
ここで、大切なことをお伝えします。
心の癖に気づいたとき、人はたいてい「直そう」としてしまいます。分析し、理解し、改善しようと考え込みます。けれども、そうすると、また別の問題が生まれてしまうのです。その問題そのものに執着し、深刻に考え続けるうちに、他のことが手につかなくなっていきます。
気づいたことに、いちばん気をとられてしまうのです。
ですから、「そういう癖があるのかもしれない」と思ったなら、もう忘れてかまいません。本当に、忘れて大丈夫です。意識しすぎず、注意を向けすぎずにいても、潜在意識はきちんと働いてくれます。ふとした瞬間に気づき、ふとした瞬間に変わっていきます。それで十分なのです。
今できることは、目の前の暮らしをできる限り心地よく整えることです。心地よい住まいにしても、なお「なんとなくつまらないな」と感じるようであれば、「何がつまらないのだろう」と、そっと問いかけてみてください。怒りを感じたとき、「これではない」と感じたときは、その感覚をきちんと受け止めて、その先にある「本当は何と一致したいのか」を、ほんの少しだけ探してみましょう。
自分と一致するというのは、実はとても小さなことです。大げさなものではありません。それでも見失ってしまうのは、感情の癖にとらわれているからなのです。
その癖に気づいたなら、それだけでもう半分は終わったも同然です。あとは肩の力を抜いて、目の前の暮らしを丁寧に生きてみてください。